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フィルミングデーってなに?F1マシンの撮影日が実質的な初走行にも使われる理由を解説

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フィルミングデー エフワンのキホン

F1の新車発表シーズンになると、ニュースやSNSで「新車がフィルミングデーで初走行した」という言葉をよく見かけます。

フィルミングデーと聞くと、映画やCMを撮影する日のようにも感じます。しかしF1におけるフィルミングデーは、ただマシンの映像や写真を撮るだけの日ではありません。

チームにとっては、新車を初めて実際のサーキットで走らせ、エンジンやパワーユニット、ブレーキ、ギアボックス、電気系統などが正常に動くかを確認できる貴重な機会でもあります。

そのため、毎年の新車発表後には、フィルミングデーで走行するマシンの映像が公開され、ファンから大きな注目を集めます。新しいカラーリングだけでなく、実車の細かな形状やサウンドを初めて確認できる場合もあるからです。

ただし、フィルミングデーは通常のテストとは違います。走行距離や使用できるタイヤに厳しい制限があり、マシンの性能を本格的に追求するための走行ではありません。

この記事では、F1のフィルミングデーとは何か、走行距離はどれくらいなのか、なぜ新車の初走行に使われるのか、シェイクダウンやプレシーズンテストとは何が違うのかを、初心者にもわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • F1のフィルミングデーとは何か
  • 年間に何回実施できるのか
  • 走行距離やタイヤにどんな制限があるのか
  • なぜ新車の初走行や確認作業に使われるのか
  • シェイクダウンや通常テストとの違い
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フィルミングデーとは?

F1のフィルミングデーとは、チームが現行のF1マシンを使用して、映像や写真などの宣伝素材を撮影するための走行機会です。

一般的には「フィルミングデー」と呼ばれていますが、FIAのスポーティングレギュレーション上は、Promotional Event(プロモーショナルイベント)という名称が使われています。

目的は、チームやスポンサーが使用するプロモーション映像、写真、SNS向けコンテンツなどを制作することです。新しいマシンがサーキットを走る映像や、ドライバーが新車を運転する写真は、こうした機会に撮影されることがあります。

ただし、撮影だけが目的とは限りません。限られた距離ではあるものの、実際にマシンを走らせられるため、チームは車両の基本的な動作確認にも活用しています。

ひとことで言うと
フィルミングデーは、宣伝撮影を目的に、現行F1マシンを限定的に走らせられる日です。

なぜフィルミングデーで新車を走らせるの?

F1チームがフィルミングデーを新車の初走行に使う理由は、シーズン中の現行車テストが厳しく制限されているからです。

現在のF1では、チームが好きなタイミングで現行マシンをサーキットへ持ち込み、自由にテストすることはできません。もし自由なテストが認められれば、資金力のあるチームほど大量に走り込み、開発競争で大きな差をつけられるからです。

そのため、新車完成後に実車を走らせる機会は限られています。フィルミングデーは、その数少ない合法的な走行機会のひとつです。

もちろん、規則上の目的はプロモーションです。しかしチームとしては、正式なテストが始まる前に一度でもマシンを動かし、基本的な問題がないかを確認しておきたいところです。

そのため、新車発表の直後にフィルミングデーを設定し、その場を実質的な初走行として利用するチームが多くなっています。

フィルミングデーでは何を確認している?

フィルミングデーは本格的な性能テストではありませんが、それでもチームが確認できる項目はたくさんあります。

新しいF1マシンは、非常に多くの部品や電子システムを組み合わせて作られています。工場内の検査で問題がなくても、実際にサーキットを走らせてみるまでわからない不具合もあります。

フィルミングデーで確認しやすい項目

  • パワーユニットが正常に作動するか
  • ギアチェンジが正しく行われるか
  • ブレーキやステアリングに異常がないか
  • 油圧・冷却・電気系統が正常か
  • センサーや無線通信が機能するか
  • 車体から異常な振動や音が出ていないか
  • ピット作業や発進手順を問題なく行えるか

特に新車では、部品同士の接続不良や、センサーの設定ミス、冷却系の漏れ、電子制御のエラーなどが発生する可能性があります。

こうした問題をプレシーズンテストの初日に見つけると、貴重なテスト時間を修理に使わなければなりません。フィルミングデーで事前に発見できれば、本格テストをより効率的に進められます。

フィルミングデーは年間何回できる?

現在のF1では、各チームは現行マシンを使ったプロモーショナルイベントを、年間2回実施できます。

ただし、1日に複数回のイベントをまとめて行うことはできません。1チームが1日に実施できるプロモーショナルイベントは1回までです。

多くのチームは、そのうち1回を新車発表後の初走行に使います。残りの1回はシーズン中の撮影、スポンサーイベント、新しいカラーリングのお披露目などに利用されることがあります。

年間2回しかないため、チームにとっては意外と貴重な機会です。撮影スケジュールだけでなく、マシンの準備状況や天候、サーキットの空き状況まで考えて日程を決めます。

走行距離は最大200km

フィルミングデーでは、1回につき最大200kmまで走行できます。

200kmと聞くと長く感じるかもしれませんが、F1のテストとして考えると決して十分な距離ではありません。

たとえば、1周約5kmのサーキットなら約40周です。ピットからの出入りや撮影のための低速走行なども含まれるため、実際に性能を評価できる高速周回はさらに限られます。

一方、通常のプレシーズンテストでは、1日だけで100周以上を走るチームもあります。走行距離だけを比べても、フィルミングデーが本格的なテストではないことがわかります。

覚えておきたい数字

  • 実施回数:年間2回まで
  • 走行距離:1回につき最大200km
  • 1日に行える回数:1チーム1回まで

専用タイヤを使うため本当の速さは測れない

フィルミングデーでは、通常のグランプリで使われるレース用タイヤを自由に使用できません。タイヤメーカーがプロモーション走行用に製造した専用タイヤを使用します。

このタイヤは一般に、通常のレース用タイヤよりも性能が抑えられています。レース週末で使用するコンパウンドとは性格が異なるため、ラップタイムやタイヤの摩耗を本格的に評価するのには向いていません。

専用タイヤを使用する理由は、フィルミングデーが実質的な秘密テストになることを防ぐためです。

もし本番用タイヤを装着し、自由なペースで200km走れるなら、チームは空力やセットアップ、タイヤの使い方などを詳しく調べられてしまいます。それではテスト制限の意味がなくなります。

したがって、フィルミングデーで速そうに見えたとしても、そのマシンの本当の競争力が判明したわけではありません。逆にタイムが遅くても、必ずしもマシンに問題があるとは限りません。

フィルミングデーのラップタイムは参考になる?

結論からいうと、フィルミングデーのラップタイムは、ほとんど参考になりません。

そもそも公式なラップタイムが公表されないことも多く、走行時の燃料搭載量、エンジンモード、タイヤ、路面温度、走行目的などもわかりません。

さらに、撮影用のカメラカーに合わせて走ったり、同じ区間を何度も往復したりすることもあります。通常のテストのように、連続して全力周回を行うとは限りません。

そのため、映像を見て「今年のマシンはかなり速そう」「前年型より遅そう」と判断するのは難しいです。

ファンとしては、タイムよりも新車が問題なく走れているか、マシンの形状やサウンドにどんな特徴があるかを見るのがおすすめです。

シェイクダウンとは何が違う?

フィルミングデーの記事で、よく一緒に使われるのがシェイクダウンという言葉です。

シェイクダウンとは、新しく完成したマシンを初めて走らせ、基本的な機能に問題がないかを確認する作業を指します。

つまり、シェイクダウンは走行の目的を表す言葉で、フィルミングデーは規則上認められた走行機会を表す言葉です。

F1チームはフィルミングデーという制度を利用し、その中で新車のシェイクダウンを行うことがあります。

違いを簡単に整理

  • フィルミングデー:撮影や宣伝のために認められた走行イベント
  • シェイクダウン:新車の基本動作を確認する初走行・確認作業

ニュースで「フィルミングデーを利用してシェイクダウンを行った」と書かれている場合は、撮影用の走行枠を使って、新車の確認作業も同時に行ったという意味です。

プレシーズンテストとは何が違う?

フィルミングデーとプレシーズンテストは、どちらも開幕前に新車を走らせる機会ですが、その目的と内容は大きく異なります。

フィルミングデー

  • 主目的は撮影と宣伝
  • 最大200km
  • プロモーション専用タイヤ
  • 本格的な性能評価には向かない

プレシーズンテスト

  • 主目的はマシン開発と開幕準備
  • 走行距離を大きく伸ばせる
  • 規定されたテスト用タイヤを使用
  • セットアップやロングランを詳しく評価できる

プレシーズンテストでは、チームは空力パーツの比較、車高やサスペンションの調整、タイヤの摩耗確認、燃料を多く積んだロングランなどを行います。

一方、フィルミングデーでは撮影を進めながら、マシンが問題なく走るかを確かめる程度です。

したがって、フィルミングデーで順調に走れても、本格テストで競争力が高いとは限りません。反対に、フィルミングデーで小さなトラブルが起きても、開幕までに修正できれば大きな問題にはならない場合があります。

TPCとは何が違う?

もうひとつ混同されやすいのが、TPCです。

TPCとは「Testing of Previous Cars」の略で、一定以上前の旧型F1マシンを使ったテストを指します。

TPCでは、若手ドライバーの育成やレギュラードライバーのトレーニング、チームスタッフの練習などが行われます。

フィルミングデーが現行車を使うのに対し、TPCでは旧型車を使用するのが大きな違いです。

使用するマシンの違い

  • フィルミングデー:現行のF1マシン
  • TPC:一定以上前の旧型F1マシン

フィルミングデーは距離も回数も厳しく制限されていますが、TPCは別の規定に基づいて実施されます。

ニュースでF1マシンがテスト走行していても、現行車なのか旧型車なのかによって、走行の意味は大きく異なります。

フィルミングデーでは新パーツをテストできる?

フィルミングデーでは現行マシンを走らせるため、新しい部品が装着されていることもあります。

ただし、専用タイヤや走行距離の制限があるため、本格的な性能比較には向きません。A仕様とB仕様を何度も交換してタイムを比較するような、通常のテストに近い開発作業は難しいです。

それでも、新しい部品が物理的に問題なく取り付けられるか、走行中に異常な振動が出ないか、冷却やセンサーが正常に機能するかなどは確認できます。

つまり、フィルミングデーでできるのは、主に機能確認です。パーツによって何秒タイムが縮まるのかを正確に調べるような性能評価とは分けて考える必要があります。

ファンはフィルミングデーのどこに注目すればいい?

フィルミングデーの映像が公開されたときは、ラップタイムよりも次のポイントに注目すると楽しめます。

新車が問題なく走れているか

まず重要なのは、マシンが止まらずに周回できているかです。初走行で大きなトラブルがなければ、チームにとっては順調なスタートです。

実車のカラーリング

新車発表ではCG画像やスタジオ撮影が使われることがあります。自然光の下で走る映像を見ると、実際の色味やスポンサー配置がよくわかります。

細かなマシン形状

発表時の画像では隠されていたフロア周辺、サイドポッド、ウイング、冷却口などが、走行映像では見えることがあります。

新しいパワーユニットの音

新しいPUメーカーや大規模なレギュレーション変更があった年は、サウンドにも注目が集まります。静止画ではわからない要素なので、フィルミングデー映像の大きな楽しみです。

ドライバーのコメント

初走行後には、ドライバーがブレーキ、ハンドリング、シートポジション、視界などについてコメントすることがあります。

ただし、発表直後のコメントは基本的に前向きな内容が多いため、「感触は素晴らしい」という言葉だけで競争力を判断しない方がよいでしょう。

フィルミングデーでトラブルが出たら危険?

新車のフィルミングデーでマシンが止まると、ファンとしては少し心配になります。しかし、初走行時の小さなトラブルは必ずしも深刻とは限りません。

新車は、工場で組み上げたばかりの複雑な機械です。センサーの異常、ソフトウェアの設定、油圧の低下、冷却系の漏れなど、小さな問題が見つかることはあります。

むしろ、プレシーズンテストや開幕戦の前に問題を発見することが、フィルミングデーを利用するメリットのひとつです。

重要なのは、トラブルの内容と、その後に再び走行できたかです。すぐに修正して走行を再開できれば、それほど心配する必要はありません。

一方で、走行開始からほとんど周回できず、原因不明のまま終了した場合は、プレシーズンテストへの影響が注目されます。

なぜ走行映像が少ししか公開されないことがある?

フィルミングデーでは撮影しているはずなのに、公開される映像が数十秒しかないこともあります。

理由のひとつは、撮影した素材がシーズンを通して使用されるためです。スポンサー映像、テレビCM、SNS投稿、チーム紹介動画など、さまざまな用途に分けて公開されます。

また、マシンの細かな技術情報をライバルに見せたくないという事情もあります。特に新車発表直後は、フロアやサスペンション、冷却部分などを詳細に撮影されることをチームが警戒します。

そのため、公開映像では特定の角度だけが使われたり、マシンの重要部分が見えにくい編集になったりします。

フィルミングデーだけでマシンの競争力はわからない

フィルミングデーの映像を見ると、新車への期待が一気に高まります。しかし、その時点でシーズンの勢力図を予想するのは難しいです。

走行距離は最大200kmに制限され、タイヤもプロモーション専用です。燃料搭載量やパワーユニットの出力設定もわからず、他チームと同じ条件で走っているわけでもありません。

さらに、フィルミングデーの目的は撮影と基本確認です。ドライバーが限界まで攻めていない場合も多く、ラップタイムを競う必要もありません。

本当の競争力が少しずつ見えてくるのは、複数チームが同じサーキットを走るプレシーズンテストです。それでも燃料量や走行プログラムが違うため、最終的な答えは開幕戦までわからないこともあります。

フィルミングデーで判断できること

  • 新車が走行可能な状態か
  • 基本システムに大きな問題がないか
  • 新しいカラーリングや実車形状

判断しにくいこと

  • 本当のラップタイム
  • タイヤの持ち
  • 他チームとの性能差
  • シーズン中の競争力

初心者向けにたとえると、フィルミングデーは新車の“短い試運転”

フィルミングデーを初心者向けにたとえるなら、新しい車を納車した直後に行う短い試運転と記念撮影を組み合わせたようなものです。

新車の写真や動画を撮りながら、エンジンがかかるか、ブレーキやハンドルが正常か、異音がしないかを確認します。

ただし、サーキットで限界走行を繰り返したり、細かなセットアップを比較したりする本格テストではありません。

このように考えると、フィルミングデーの位置づけがわかりやすくなります。

F1のフィルミングデーで新車が撮影走行するイメージ

まとめ|フィルミングデーは撮影日であり、新車の貴重な確認走行でもある

F1のフィルミングデーとは、現行マシンを使って写真や映像などの宣伝素材を撮影するための走行イベントです。FIAの規則上は、Promotional Eventと呼ばれています。

各チームが実施できるのは年間2回までで、1回の走行距離は最大200kmです。また、通常のレース用タイヤではなく、専用のプロモーションタイヤを使用します。

本来の目的は宣伝ですが、新車を実際に走らせられる貴重な機会でもあるため、チームはシェイクダウンや基本的な動作確認にも活用しています。

ただし、距離とタイヤに制限があるため、本格的な性能テストではありません。フィルミングデーの映像だけで、その年のマシンが速いか遅いかを判断することは難しいです。

ファンとしては、タイムよりも、新車が無事に走ったか、実物のカラーリングや形状はどう見えるか、新しいパワーユニットがどんな音を出すかに注目すると楽しめます。

今後「新車がフィルミングデーで初走行」というニュースを見かけたら、単なる撮影ではなく、開幕へ向けた最初の実車確認でもあることを思い出してみてください。

今回のポイントおさらい

  • フィルミングデーの正式名称はPromotional Event
  • 主目的は写真や映像などの宣伝素材の撮影
  • 各チーム年間2回、1回最大200kmまで
  • プロモーション専用タイヤを使用する
  • 新車のシェイクダウンや基本確認にも利用される
  • 本格的な性能テストではない

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