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【初心者向け】ピットストップに関わるチーム内役割の詳細を徹底解説

エフワンのキホン

F1のピットストップはわずか2秒未満。その裏に隠されたメカニックやピットクルーの役割、分担、訓練方法を解説。究極のチームワークを知る!

チーム全体の役割が知りたい方はコチラ→F1チーム内のメンバーと役割を徹底解説

はじめに

F1観戦で最も息をのむ瞬間のひとつが「ピットストップ」です。
マシンが高速でピットレーンに入り、わずか2秒ほどで4本のタイヤ交換を終える光景は、観客を驚かせます。

しかし、その短い時間の裏には、数十人のピットクルーがそれぞれ明確な役割を持ち、寸分の狂いもなく作業を行う「究極の分業」があります。この記事では、ピットストップに携わる各メンバーの役割とその重要性を詳しく解説します。


1. ピットストップの全体像

1回のピットストップでは、およそ20人前後のクルーが同時に動きます。
基本的な流れは以下の通りです。

  1. マシン進入 → ドライバー停止位置に正確に停車。
  2. ジャッキ担当がマシンを持ち上げる。
  3. タイヤ担当がナットを外し、交換。
  4. ジャッキを下ろし、グリーンライトで発進。

🖼️ 図解イメージ(役割分担)

【前方】
  ┌────── フロントジャッキ担当 ──────┐
  │   ┌ タイヤガン(左) ─ ドライバー左前タイヤ ┐
  │   └ タイヤガン(右) ─ ドライバー右前タイヤ ┘
  │   ┌ タイヤ装着(左) ─ 交換後に新タイヤ取り付け ┐
  │   └ タイヤ装着(右) ─ 同上 ┘

【中央】
  └────── ストラテジスト/ライト担当 ──────┘

【後方】
  ┌────── リアジャッキ担当 ──────┐
  │   ┌ タイヤガン(左) ─ 左後輪ナット担当 ┐
  │   └ タイヤガン(右) ─ 右後輪ナット担当 ┘
  │   ┌ タイヤ装着(左) ─ 新タイヤ取り付け ┐
  │   └ タイヤ装着(右) ─ 同上 ┘

2. ピットストップに関わる主な役割

2-1. ジャッキ担当

  • フロントジャッキ
    • マシンが停止すると同時に車体前方にジャッキを差し込み持ち上げる。
    • ピット作業終了後は素早くジャッキを外して退避。
  • リアジャッキ
    • 後方からジャッキを差し込み車体を上げる。
    • 発進時はタイミングを見てすぐに下ろすため、事故防止に直結する重要役。

👉 ジャッキ担当は「作業全体の始まりと終わり」を担う、リズムメーカーです。


2-2. ホイールガン担当(ナット担当)

  • 各タイヤごとに1人ずつ配置。計4人。
  • インパクトレンチ(ホイールガン)でナットを外し、新しいホイールを締め付ける。
  • F1のナットは一輪一つのセンターロック方式。わずか数秒で脱着可能だが、失敗すれば大事故につながる。

👉 彼らの反射神経と精度が、ピットストップ最速記録更新に直結します。


2-3. ホイールオフ担当(取り外し役)

  • ナットが外れたタイヤをすぐに取り外す役割。
  • 素早くライン上から退避し、新しいタイヤがすぐ装着できるようにする。

2-4. ホイールオン担当(装着役)

  • 新しいタイヤを取り付ける役割。
  • 装着の際、角度を誤るとナットが正しく締まらず、走行中に脱落の危険。

👉 取り外しと装着を分担することで、作業効率を最大化しています。


2-5. ストラテジスト/ライト担当

  • ピット作業全体を俯瞰し、発進合図を出す。
  • ピット出口の状況(他車との接触リスク)をモニターで確認し、安全確認後にグリーンシグナルを出す。

2-6. サポートメンバー

  • フロントウイング角度調整担当。必要があればドライバーのリクエストに応じて調整。
  • 消火器担当。万が一燃料やオイルが引火した場合に備えて常に待機。

3. ピットストップの速さの秘密

3-1. 繰り返しの練習

  • 各チームはシーズン中も毎日シミュレーションや模擬作業を行う。
  • 1シーズンで数千回の練習をこなすことも。

3-2. 専用機材

  • ホイールガンは軽量化と高トルクを両立した特注品。
  • ジャッキも車体に合わせた専用設計で、わずか数キロの力で車体を持ち上げられる。

3-3. 人間工学的配置

  • クルーの動きはミリ秒単位で計算されており、最も効率的な配置を科学的に導き出している。

4. トラブルとその影響

  • ナット締め不良 → 走行中のタイヤ脱落は即リタイア。
  • ジャッキのトラブル → 発進できず数秒ロス。
  • 発進合図の誤り → ピットレーンで接触事故のリスク。

👉 ピットストップの失敗は、そのままレース結果に直結するのです。


5. 最速ピットストップの記録

  • レッドブルは2019年ブラジルGPで 1.82秒 の世界記録を樹立。
  • 2秒を切る作業は「人間の限界」とも言われ、全員の呼吸が完璧に合ったときのみ達成可能。

6. ピット戦略の頭脳戦

  • 何秒で作業を終えるか以上に重要なのが「いつ入るか」。
  • セーフティカー導入時やライバルの動きに応じて、1秒の判断が順位を左右する。
  • ピットストップは「人間の作業」+「戦略の決断」の両方が揃って初めて成功するのです。

まとめ

F1のピットストップは単なるタイヤ交換ではなく、20人前後のスペシャリストが一糸乱れぬ連携で行う総合芸術です。

  • ジャッキ担当がマシンを上げ下げし、
  • ホイールガン担当とタイヤ担当が瞬時に交換し、
  • ライト担当が安全を確認する。

この一連の作業は、数千回の練習と信頼関係によって初めて可能になります。
観戦の際には、数秒間の中に凝縮された「人間の技術とチームワーク」にも注目してみてください。

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