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市街地サーキットはなぜ増えたのか?F1の新たな潮流を徹底解説

エフワンのキホン

近年のF1で急増する市街地サーキット。なぜ伝統的な専用サーキットではなく、街中でのレースが選ばれるのか?その背景と狙い、課題、今後の展望を解説。

はじめに

F1といえば、モナコのグランプリを思い浮かべる人は多いでしょう。街中を縫うように走るコースは華やかで特別感があり、「世界三大レース」のひとつとして長年愛されています。

しかしここ十数年で、モナコ以外にもシンガポール、アゼルバイジャン(バクー)、マイアミ、ラスベガスといった市街地サーキットが次々とカレンダーに登場しました。2026年以降も市街地開催の候補地が複数あり、確実に“市街地化”の流れが強まっています。

ではなぜ、市街地サーキットは増えているのでしょうか?


1. 市街地サーキットとは?

1-1. 定義

市街地サーキットとは、普段は一般道として使われている道路を閉鎖し、一時的にF1レース用のコースに仕立て上げたものです。

  • モナコ:世界で最も有名な市街地GP。
  • シンガポール:2008年に初開催。F1初のナイトレース。
  • バクー:超ロングストレートと旧市街の狭路が特徴。
  • マイアミ:スタジアム周辺を利用した特設コース。
  • ラスベガス:2023年から復活し、ストリップ大通りを走行。

1-2. 常設サーキットとの違い

  • 常設サーキット:鈴鹿、シルバーストン、モンツァなど、専用に建設された施設。安全面で優れる。
  • 市街地サーキット:既存の都市インフラを利用。観客動員や話題性で強み。

2. 市街地サーキットが増えた背景

2-1. エンターテインメント性の強化

F1は単なるスポーツではなく、**「世界的ショー」**でもあります。

  • 都市中心部で開催すれば「観戦+観光」がセットになる。
  • 夜景やランドマークを背景にした映像は中継映えする。
    👉 F1をテレビやSNSで発信する上で、市街地開催は圧倒的な宣伝効果を持ちます。

2-2. 新市場の開拓

  • シンガポールやバクー:新興国・新興都市への進出。
  • マイアミ・ラスベガス:アメリカ市場を拡大する戦略の一環。
    👉 F1がグローバルスポーツとして存在感を高めるために、都市型開催が求められました。

2-3. 収益性の向上

  • 都市の自治体やスポンサーが莫大な開催費用を負担。
  • ホテル・観光業界との連携により、都市全体で経済効果を享受できる。
    👉 専用サーキットよりも主催料が高額で安定的に収益が見込めるのがF1運営側の大きな狙い。

3. 市街地開催のメリット

3-1. 観客のアクセスが良い

郊外に位置する常設サーキットと比べ、街の中心部での開催は交通アクセスが容易。観客が気軽に訪れやすい。

3-2. 観光資源との相乗効果

  • シンガポールでは観戦チケットと観光パッケージを組み合わせた商品が人気。
  • ラスベガスではカジノやショーと組み合わせた“都市全体のお祭り”として展開。

3-3. 映像映え

  • 高層ビルの夜景を背景に走るマシンはSNSで拡散されやすい。
  • スポンサー露出も効果的。

3-4. 経済波及効果

観客が都市に滞在するため、ホテル・飲食・小売業に莫大な利益が落ちる。開催都市にとっては観光振興の目玉となる。


4. 市街地開催の課題

4-1. 安全面

  • 市街地はランオフエリア(退避スペース)が限られ、クラッシュの危険性が高い。
  • フェンスやバリアの設置が必要でコストがかかる。

4-2. 交通規制と住民の負担

  • 開催中は道路が封鎖され、周辺住民や通勤客に大きな影響。
  • 騒音問題も避けられない。

4-3. レース展開の単調さ

  • コース幅が狭く、オーバーテイクが難しい場合がある。
  • モナコGPは歴史的価値はあるものの「退屈」という批判も根強い。

4-4. 高額な開催費用

  • 都市が負担する開催権料は常設サーキットより高額。
  • 長期的な開催が難しく、数年でカレンダーから消えるケースも。

5. 歴史的な流れ

5-1. モナコGPの存在

  • 1929年から続く伝統。
  • 市街地GPの象徴であり、現代の市街地ブームの原点。

5-2. 2000年代以降の拡大

  • 2008年シンガポールGP(ナイトレース初導入)が成功。
  • 以降、アジア・中東・アメリカで市街地開催が次々に追加。

5-3. 近年の潮流

  • 2022年マイアミGP、2023年ラスベガスGPと米国で拡大。
  • F1が新市場に進出する際の「入口」として市街地開催が使われている。

6. 市街地サーキットの象徴的な事例

  • シンガポールGP:ナイトレース導入により大成功。
  • バクーGP:狭い旧市街と超高速ストレートの対比が人気。
  • ラスベガスGP:エンターテインメント都市とF1の融合。

7. 今後の展望

  • 新たな開催候補地:ロンドン、ニューヨーク、カタール市街地などの噂あり。
  • ハイブリッド型コース:一部を常設サーキット、一部を市街地道路と組み合わせる試みも増加。
  • 観客体験の進化:市街地ならではのAR演出や都市連携型イベントが導入される可能性。

まとめ

市街地サーキットが増えた背景には、以下の要因があります。

  • 映像映えするショー効果
  • 新市場の開拓と観光振興
  • 収益性の高さ

一方で、安全性や住民への負担、レースの面白さといった課題も抱えています。

それでも、F1が世界的スポーツとして進化を続ける限り、市街地サーキットは今後も増え続けるでしょう。街のランドマークを背景に走るF1マシンは、現代F1の象徴的な姿なのです。

次記事にて市街地サーキットで生まれた名勝負を紹介します!

次記事はコチラから→

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