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ピットストップ中に何が起きてる?その速さの秘密

エフワンのキホン

F1のピットストップでは何が行われているのか?作業内容、最速記録、事故事例までを詳しく解説。驚異的なスピードの裏にある秘密を紹介します。

はじめに

F1観戦において最もスリリングで、観客を釘付けにする瞬間のひとつがピットストップです。
一瞬でマシンが止まり、わずか数秒でタイヤ交換や調整が行われる光景は、まさに人間と技術の極限の融合です。

では、この短時間でいったい何が起きているのでしょうか?
この記事では、ピットストップの仕組み、最速記録、事故事例、そして戦略的な意味を詳しく紹介します。


1. ピットストップとは?

ピットストップとは、レース中にマシンがピットレーンに入り、タイヤ交換や修理、調整を行う作業のことです。

  • 主目的は タイヤ交換(現在のF1では義務づけられている)。
  • かつては給油も行われていたが、2010年以降は禁止されている。
  • 戦略に基づいて、1レース中に1〜2回程度行われることが多い。

👉 タイヤの劣化をリセットし、パフォーマンスを維持するための必須作業なのです。


2. ピットストップの基本作業

F1のピットストップは、20人以上のクルーが同時に作業を行います。

2-1. 作業の流れ

  1. マシン進入:ドライバーがピットボックスに正確に停車。
  2. ジャッキアップ:前後のジャッキマンがマシンを持ち上げる。
  3. タイヤ交換:各タイヤに3人ずつ配置。
    • 1人目:ホイールガンでナットを外す。
    • 2人目:古いタイヤを外す。
    • 3人目:新しいタイヤを取り付ける。
  4. ジャッキダウン:マシンを下ろし、リリースシグナルを送る。
  5. マシン発進:ドライバーが全開でピットアウト。

2-2. 所要時間

  • 現代の平均的なピットストップ:約2.5〜3秒
  • チームによっては2秒を切る神業レベルの記録も達成している。

3. ピットストップの速さの秘密

ピットストップのスピードにはいくつかの秘密があります。

3-1. 専用機材

  • エアガン:ホイールナットを一瞬で脱着可能。
  • ジャッキ:わずか0.5秒でマシンを持ち上げられる特注品。

3-2. 人員配置と分業

  • 各ポジションに専門のメカニックを配置。
  • 一人でも遅れれば全体のタイムが崩れるため、練習は年間数千回にも及ぶ。

3-3. シグナル管理

  • かつては「ロリポップマン」がサインを出していたが、現在は電子シグナルシステムを採用するチームが多い。
  • 人的ミスを減らし、より正確に発進を指示。

4. 最速のピットストップ記録

F1史上の最速ピットストップは、2019年ブラジルGPのレッドブル(マックス・フェルスタッペン)による1.82秒です。

  • 全タイヤ交換を1.82秒で完了する驚異的なスピード。
  • これは「人間業とは思えない」記録として今も語り継がれています。

👉 トップチームは常に2秒を切るタイムを狙っており、ピット作業そのものが技術競争となっています。


5. ピットストップの戦略的意味

ピットストップは単なるタイヤ交換ではなく、レース戦略の要です。

  • アンダーカット:早めにピットインし、新しいタイヤで速いラップを刻み、相手より先に前へ出る戦略。
  • オーバーカット:相手がピットインした後も走り続け、空いたコースで速いラップを記録し逆転する戦略。
  • セーフティカー中のピットイン:タイムロスが減るため、ピットインの大チャンス。

👉 ピットストップのタイミングは、しばしば勝敗を分ける要素となります。


6. ピットストップでの事故事例

ピットストップは高速かつ危険な作業でもあります。過去には数々のトラブルが起きてきました。

6-1. ホイール脱落事故

  • 例:2008年ハンガリーGP(フェラーリのマッサ)
    タイヤが完全に固定されず、走行中に外れてしまいリタイア。

6-2. 発進ミスによる接触

  • 例:2013年ドイツGP(ウェーバー/レッドブル)
    タイヤが外れたまま発進 → ピットレーンのカメラマンに直撃。幸い命に別状はなかったが、安全対策強化の契機となった。

6-3. 燃料補給時代の火災

  • 2009年シンガポールGPでは、フェラーリのマッサが燃料ホースをつけたまま発進 → 火災発生。
  • このような危険もあり、現在は給油が禁止されている。

7. 現代の安全対策

  • ピットレーン速度制限:通常80km/h(モナコのみ60km/h)。
  • 発進時のシグナル管理:赤・青ライトで正確に制御。
  • ピットクルーの防火服・ヘルメット着用:全員が安全装備を義務化。

👉 速さと同時に「安全性」が最重要視されています。


8. ピットストップの進化と未来

  • 自動化の研究:完全自動ピットストップは規則上禁止だが、将来的な研究対象。
  • EV時代の影響:電動フォーミュラ(フォーミュラE)では「バッテリー交換や充電」の仕組みが試行錯誤されている。
  • F1の今後:さらに安全で効率的なピット作業が求められ、1秒台の壁が突破される可能性も。

まとめ

F1のピットストップは、

  • わずか数秒の間に20人以上が連携する究極のチームプレー
  • 最速記録は1.82秒(レッドブル)という驚異的スピード
  • 事故事例も多く、安全対策と進化を重ねてきた
  • 戦略的意味が大きく、勝敗を左右する要素

まさに「数秒間に凝縮されたF1の本質」と言えるでしょう。
次回の観戦では、単に順位変動を見るだけでなく、ピット作業の速さ・正確さ・安全性にも注目してみてください。

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