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スチュワードって何者?F1の公正を守る“審判”を徹底解説

エフワンのキホン

F1で耳にする「スチュワード」とは誰のことか?名前ではなく役職であり、レースを裁定する審判役です。その役割や歴史、実際の裁定例を解説します。

はじめに

F1の中継やニュースを見ていると、「スチュワードが調査に入った」「スチュワードの判断でペナルティが下された」といった表現をよく目にします。
一方で、初心者の中には「スチュワードってドライバーの名前?」と勘違いする方も少なくありません。

実際には、スチュワード(Steward)とはF1の審判役であり、レースの公平性を監視し、ルール違反を裁定する人々のことを指します。

この記事では、スチュワードの役割や歴史、どんな人が務めているのか、実際の裁定例まで詳しく解説します。


1. スチュワードとは何か

1-1. 基本的な定義

  • スチュワード(Steward)=レースの審判官
  • FIA(国際自動車連盟)から任命され、レース中に発生する事象を監視し、規則違反があれば罰則を与える権限を持つ。
  • ドライバーやチームからは「裁定者」として恐れられつつも、公平なレース運営には欠かせない存在。

1-2. 他の役職との違い

  • レースディレクター:レース進行全体を管理する責任者。セーフティカー導入などを指示。
  • スチュワード:ルール違反やアクシデントを調査し、罰則を決める。
    👉 レースディレクターが“進行役”、スチュワードが“裁判官”という位置づけです。

2. スチュワードの構成

F1では通常、1戦ごとに3〜4名のスチュワードが任命されます。

2-1. メンバー構成

  • FIAの国際審判員:規則に精通した専門家。
  • 元レーシングドライバー:実際の経験を持ち、ドライバー視点で判断できる人物。
  • 地元ASN(自動車連盟)代表:開催国のモータースポーツ関係者。

2-2. ドライバー経験者の重要性

2008年以降、少なくとも1名は元F1ドライバーを含めることが義務化。
これにより、**「実戦を知る人間が関与することで、裁定の現実性が増した」**と評価されています。


3. スチュワードの役割と仕事

3-1. レース前

  • チームやドライバーに対して競技規則を確認。
  • マシンの技術規則違反がないか監督。

3-2. レース中

  • コース上で起きた接触や違反行為をモニターで確認。
  • レースコントロールからの報告を受け、調査開始を決定。
  • 必要に応じてドライバーやチーム代表を呼び出し、事情聴取。

3-3. レース後

  • 未処理のインシデントを精査。
  • 最終順位の確定を承認。
  • 規則違反があれば、時間加算や失格などの処分を決定。

4. スチュワードが下す主なペナルティ

4-1. ドライバーに対して

  • ドライブスルーペナルティ
  • ストップ&ゴーペナルティ
  • タイム加算(5秒、10秒など)
  • グリッド降格ペナルティ(次戦)
  • 失格(ブラックフラッグ)

4-2. チームに対して

  • 罰金
  • コンストラクターズポイント剥奪
  • 次戦出場停止(極めて稀)

👉 ペナルティは違反の重大性に応じて段階的に科されます。


5. 歴史的な背景

5-1. 初期のF1(1950年代〜1970年代)

  • 当時は各国の自動車クラブが裁定を担当。
  • 判断がバラバラで、国ごとに厳しさが違った。

5-2. FIAの統一

  • 1980年代以降、FIAが一元管理。
  • 2000年代には透明性強化のため、元ドライバーを必ず含める制度に。

5-3. 近年の改革

  • 2021年のアブダビGPを巡る混乱を受け、スチュワードやレースディレクターの体制が見直され、より多人数のサポートと監視システムが導入された。

6. 実際の裁定例

  • 2019年カナダGP:ベッテルがコース外に出てハミルトンを妨害したとして5秒加算ペナルティ。議論を呼ぶ判定に。
  • 2021年イギリスGP:ハミルトンとフェルスタッペンの接触。ハミルトンに10秒加算。
  • 2023年日本GP:トラックリミット違反多数により、多くのドライバーが警告や5秒加算を受けた。

👉 スチュワードの裁定は常に議論の的であり、ファンの間でも「厳しすぎる/甘すぎる」と意見が分かれることが多い。


7. スチュワードに求められる資質

  • 規則への深い理解
  • 公正中立な姿勢
  • 迅速な判断力
  • ドライバーやチームとのコミュニケーション能力

👉 裁定を下すだけでなく、「なぜその判断に至ったか」を説明する能力も重要視されています。


8. スチュワード制度への批判と課題

  • 判定がレースごとに微妙に異なることがあり、一貫性の欠如が批判される。
  • 透明性が不十分だと「特定のチームを優遇しているのでは」と疑念を招く。
  • 最新では裁定文が公式サイトに即時公開されるようになり、改善が進んでいる。

9. 今後の展望

  • AIやデータ解析の導入:判定の客観性を補強する動きがある。
  • 複数拠点からのリモート支援:全世界の専門家が同時にレースを監視する体制。
  • 教育的役割の強化:若手ドライバーへの規則指導や啓発活動にも関与する可能性。

まとめ

「スチュワード」とは人名ではなく、F1の公正を守る審判官のことです。

  • FIAから任命される3〜4名の専門家で構成。
  • レース中の接触や違反を調査し、ペナルティを科す。
  • 元ドライバーが加わることで実戦視点を補完。
  • 裁定は時に議論を呼ぶが、F1における安全性と公平性を支える不可欠な存在。

観戦者としても、スチュワードの役割を理解しておくことで「なぜこのペナルティが出たのか」「どうして順位が変わったのか」を深く楽しむことができます。

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